若かりし日の田村正和が主演した社会派ミステリー映画

2021.11.24

©1965松竹株式会社

ドラマ『古畑任三郎』シリーズなどで人気を博し、2021年4月に惜しくもこの世を去った俳優・田村正和。 阪東妻三郎の息子であり田村高廣・田村亮ら兄弟と共に若い頃から俳優として活動していた彼が、 1965年に主演した映画 『この声なき叫び』衛星劇場で放送される。原作は西村京太郎『四つの終止符』。社会問題に焦点を当てた深いストーリーが楽しめると同時に、若かりし日の田村正和の姿も見られる貴重な映画だ。

~原作紹介~
■四つの終止符=書名  ■西村京太郎=著者
■講談社文庫=刊 ■定価565円

トラベルミステリーの巨匠・西村京太郎の初期作品

推理小説ファンでなくとも『十津川警部』シリーズを知っている人は多いだろう。鉄道の乗り換えや時刻表に載らない切り替え作業などをトリックとしたミステリーを長年生み出し続けている作家・西村京太郎。その代表作の中には、第11回江戸川乱歩賞を受賞した『天使の傷痕』など、社会問題をテーマとした作品も存在する。現代社会とは異なる部分もあるが、根底にある問題は残念ながら残っている。単なる差別への批判にとどまらず、差別される人々の生き方も考えさせられる作品だ。ヒューマニズムに裏打ちされたこの秀作『四つの終止符』を、映画の放送を機に読んでみてはいかがだろうか。(書店に在庫が見つからない場合も、電子書籍が入手可能。※11月22日時点)

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母親殺しの嫌疑をかけられた耳の不自由な青年の行く末は?

生まれながらに耳の不自由な佐々木晋一は、病弱な母親との生活を支える工員であった。不幸に閉ざされた晋一の心は、工員相手のバーに勤める石母田幸子に出会って、わずかに明るさを加えた。そんな晋一を誰よりも喜んだのは母の辰子であった。晋一が幸子から母の好物を買うようにともらった金でワカサギを買ったその日、辰子は白い汚物を吐いて死んだ。死因は晋一の与えた栄養剤の中に入っていたヒ素だった。晋一は母親殺しで逮捕される。言葉によるコミュニケーションが困難な晋一に無実を訴えるすべはなく、同情を寄せる者もなかった。だが、幸子と聾(ろう)学校長の館野や教師だけは晋一の無実を信じていた。

65年[監]市村泰一[出]香山美子、田村正和、園井啓介、倍賞千恵子、志村喬、笠智衆 ほか

衛星劇場

[映]この声なき叫び

[モノクロ]1日 8.3010.15 [再]=1627

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