再注目される異色の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』

　2021～2022年にかけてNHKで放送された『連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ』が2月12日（月）よりチャンネル銀河にてCSで初放送される。3人のヒロインが物語を繋いだ異色の朝ドラとして、放送当時も大きく話題を呼んだ本作。2024年の現在、同じくNHKでオンエアされている『連続テレビ小説ブギウギ』で同じ時代を舞台にしていることや、本作を連想するようなシーンや小道具が登場することから、「また見たい」「見てみたい」という声がSNSでも上がっている。さらに、本作で共演した 松村北斗（SixTONES）と上白石萌音 がW主演を務める映画が公開されるなどタイムリーな話題も。今改めて注目を集める『カムカム』の楽しみ方をご紹介。

ラジオの英語講座とともに歩んだ祖母・母・娘の100年の物語

　3人のヒロイン、安子・るい・ひなたが、母から娘へとバトンをつなぎ、戦前から戦後、そして令和までの物語を紡いでいくという、朝ドラではこれまでになかった斬新な構造をとる本作。脚本を手掛けたのは、連続テレビ小説の脚本は 2007年の 『ちりとてちん 』以来2度目となった藤本有紀。彼女が2度目の機会があったら書こうとあたためていた「NHKのラジオ英語講座」を題材に、自然な成り行きで 100 年の物語、 3 人のヒロインが誕生した。初代ヒロイン・安子の物語はあんこと野球、安子の娘・るいの物語はジャズ、るいの娘・ひなたの物語は時代劇と、三者三様の物語をラジオ英語講座を通して繋いでいく。

斬新なストーリーに挑んだ3人のヒロインたち

　女性の一代記という形を取ることが多い朝ドラで、異例の３人の主人公が登場した本作。初代ヒロイン安子を演じたのは、応募者3,000人を超えるオーディションを経て抜擢、連続テレビ小説初出演を果たした 上白石萌音 。愛らしい少女の姿から、娘・るいを見つめる温かな“母親の表情”までを巧みに演じた。2 代目ヒロイン・るいを演じたのは深津絵里。放送開始時点で48歳ということで、18 歳を演じるという初登場シーンには本人も多少戸惑いを感じていたよう。しかし変わらぬ可憐さと透明感をたたえた若々しい容貌、そして巧みな演技力で見事に演じきった。3代目ヒロイン・るいの娘ひなた役を務めたのは、川栄李奈 。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍する彼女の確かな演技力は本作でもいかんなく発揮。見ていて応援したくなる等身大のヒロイン像を演じ魅せた。

　るいと風変わりなトランぺッター・錠一郎（オダギリジョー）、ひなたと若き大部屋俳優・五十嵐文四郎役（本郷奏多）と、ヒロインを支える男性陣との恋の行方も見逃せない。中でも、2月9日（金）から全国公開される映画『夜明けのすべて』 でW主演を務める、安子役・上白石萌音と稔役の松村北斗は『カムカムエヴリバディ』以来の共演、また映画では初共演ということでファンの間で大きな話題となっている 。松村が演じた稔は、地元で有名な名家・雉真家の跡取り。ラジオ英語講座の存在を安子に教え、運命を大きく動かしていく重要な役どころだ。 二人は恋に落ち、銀行の頭取の娘との縁談も進んでいたところ、父親の許しを得て、結婚することができた。稔が「僕と結婚してください」といい、安子が了承した急展開の第15話には、驚きつつもホッとした視聴者も多かったはず。その後も運命に翻弄される二人を演じた松村と上白石の姿には「泣かされた」「よかった」の声が集まった。映画でもドラマでも、そんな二人の熱演に改めて注目だ。

一度ではわからなかった“散りばめられた伏線”と“さり気ない小ネタ”

　既にNHKでの放送で本作を視聴済みの方にも今回、ぜひもう一度見てほしい。本作はSNSでの投稿や、ネット記事などでの紹介がこれまでにないほど多かったことが特徴だ。それは脚本にさまざまな伏線が散りばめられており、また何気ないシーンにもパロディや時代の雰囲気が刻印されているため、一度視聴しただけではそのすべてを理解することが難しく、後から様々な考察がなされていたからだ。1話から全て視聴することが出来るこの機会に、そんな遊び心や脚本の妙もたっぷりと楽しもう。

　現在NHKで放送されている『連続テレビ小説 ブギウギ』には、過去の朝ドラに登場した小道具が多数登場している。中でも話題となったのは、 稔の実家が経営している「雉真繊維」の商品看板が登場したシーン。朝ドラが好きな人は思わず微笑んでしまう、制作陣による小さなこだわりがたまらない。両作を見ていないとわからない小ネタを見逃してしまっては損、今回はそんな細かな視点から楽しく鑑賞する上でも正にうってつけのタイミングだ。

森山良子、さだまさしなど意外な配役も…豪華出演陣もチェック！

　NHKドラマならではの豪華なキャスト陣は、『連続テレビ小説』シリーズの大きな醍醐味。 脇を固める俳優たちも、銀幕の大スター・桃山剣之介（尾上菊之助）、帝国軍人・神田猛（武井壮）、映画館の館主・西山太（笑福亭笑瓶）、ミュージシャンのトミー 北沢 （早乙女太一）、大部屋俳優・伴虚無蔵（松重豊）、ひなたにとって憧れの存在・美咲すみれ（安達祐実）など枚挙にいとまがない。中でも、 『カムカム英語』の人気講師・平川唯一を演じたさだまさし、 ハリウッド映画のキャスティングディレクター、アニー・ヒラカワを演じた森山良子は意外な配役ながらも、その熱演に要注目だ。

連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ（チャンネル銀河　歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた）
2月12日（月）放送スタート
毎週月～金曜 深0.00～1.00
※再放送あり　※3話連続