インタビュー撮影現場に密着! 杉良太郎が語る時代劇ドラマ全盛時代
2020.08.18
2020年7月31日、都内某所にて厳戒態勢のなか、時代劇専門チャンネルの特別企画「魂の男~杉良太郎祭り」のためにスペシャルインタビューが収録されました。1,400本もの時代劇ドラマに出続けたという杉良太郎さんに、もっとも忙しかった時期を中心に、その波乱万丈なキャリアを振り返っていただきました。
――1,400本という驚異的な本数のドラマを撮影するのに、どのような工夫をされていたのでしょうか。
1本のドラマのなかで、立ち回り(殺陣)の場面はだいたい5回くらい出てきます。これを初めから終わりまで順番に撮影すると、立ち位置が変わるたびに中断をして、カメラとライティング(照明)の位置を変えなければならないので、とても時間がかかります。ですから、段取りをすべて計算して、同じ角度のシーンだけを全部まとめて撮ることで、本来かかる時間の10分の1で撮影できるように工夫していました。自分が殺陣師としてアクションをすべて考えていたので、撮影の手順は撮影現場のスクリプターさん(記録係)よりも頭に入っていたくらいです。最後に撮っていない場面がないかどうかをしっかりと確認して、編集でシーンを順序良く並べ替えてもらう。あるシーンの撮影を終えて、背景のふすまを変えただけですぐに違う場面の撮影に入ったこともありました。
『遠山の金さん』に出ていたときは、必ずお白洲の場面がありましたから、同じカメラのアングルのままで2本の回を同時に撮ることも珍しくありません。同じカメラとライティング、同じ衣装のままで、自分のセリフを全部言ってしまう。できる工夫はなんでもやりました。ハリウッドのマーク・L・レスターというプロデューサー(※)にお会いしたときにこの話をしたら、「アメリカでもドラマ1本の撮影には3日はかかる。お前はその半分で撮るのか⁉」と驚いていました。
※ 監督作品も多く、代表作はアーノルド・シュワルツェネッガー主演『コマンドー』など
――時代劇ドラマのトップスターから舞台に活躍の場を移されるきっかけはどのようなことだったのでしょうか。
気が付くと同じような内容の台本が手元に届くようになったからです。自分の家に脚本家とほかのスタッフを呼んで、その日の新聞記事に載っていたいろんな事件をもとにして、おおまかなストーリーを作っていた時期もあります。それでも1,400本近くになってくると、「これと同じような話を前にも撮ったぞ」ということが何度も起こるようになってしまって。もちろんドラマは人気があって、視聴率も高かったんですが、ある時に冷静になって考えてみたんです。人気というものはどんなに上がっていても、いつかは落ちてしまう。だから、人気がある間に自分を鍛えて、実力をつけなければならないと。半歩でも精進を重ねて芸を磨き、少しでもお客さまに喜んでいただくのが役者としてのモットーです。それで、連続ドラマの主演を辞めて、舞台に力を注ぐようになりました。歌舞伎でも、新劇でもない。リアリズムと様式美の混合を目指して、“杉演劇”というスタイルを自分で確立させようとしたんです。
――役者や歌手としてのお仕事と並行して、社会的な活動も活発にされていますが、現在、不安な社会情勢が続いていることについては、どうお感じになっていますか。
言いたいことはたくさんあるんですが、いま現在、苦しい想いをされている方に伝えたいことがあります。自分も人間ですから、これまでにダメかもしれないと思ったことは何度もありました。でも、身をもって苦しいこと、つらいことを乗り切ってきた自分が経験者として言いますが……きっと大丈夫です。小さく生きていかないで、深呼吸をして、世界の見方を変えてみれば、生きる勇気がきっとまた湧いてくると思います。
杉良太郎(すぎ・りょうたろう)
すぎ・りょうたろう/1944年兵庫県生まれ。『遠山の金さん』の遠山金四郎役、『右門捕物帖』のむっつり右門役、そして長寿番組『水戸黄門』の初代助さん役など代表作は多数。歌手としても「すきま風」などのヒット曲を持つ。その幅広い芸能活動と並行して、海外での文化交流、国内の福祉活動にも尽力している。2016年度文化功労者。現在、法務省・特別矯正監、厚労省・健康行政特別参与、警察庁・特別防犯対策監を務める。
【特別インタビューの全貌は以下の時間にて放送】
時代劇専門チャンネル
- 杉良太郎スペシャルインタビュー #1
19日 後1.50~2.00
時代劇専門チャンネル
- 杉良太郎スペシャルインタビュー #2
20日 後2.50~3.00
時代劇専門チャンネル
- 杉良太郎スペシャルインタビュー #3
21日 後4.10~4.20
※26日 後7.30~8.00に#1~3の一挙放送あり