映画がもっと面白くなるハリウッド熱中講座《補習篇》

2020.04.23

アメリカの映画業界が大きな転換期を迎えていた1969年--この時期に作られた名作4本を予習・復習して、 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が描いた60年代後半の雰囲気をさらに楽しもう。

ロマン・ポランスキー監督のハリウッド進出

生まれ育ったポーランドで監督した 『水の中のナイフ』(1962年)が世界的に評価されたロマン・ポランスキーは、ほどなくイギリスへ移住。さらなる飛躍を目指し、ハリウッド進出第1作となったのがオカルト・ホラー『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)だった。 悪魔に呪われてしまう新婚夫婦の物語は、彼の悲劇を結果的に暗示しており、現在も異彩を放ち続ける傑作である。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で、ポランスキーと結婚したばかりの女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)がリック(レオナルド・ディカプリオ)の隣家に引っ越してきた、まさにその時期の作品。

TM, Ⓡ & © 2020 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

スターチャンネル2

ローズマリーの赤ちゃん

13日 後3.30~5.50 [再]=22・31

傑作への出演が続くスティーヴ・マックイーン

『荒野の七人』(1960年)や『大脱走』(1963年)で大スターとなったスティーヴ・マックイーンは60年代末も続々と傑作に出演して着実にキャリアを重ねた。彼が寡黙な刑事を演じる『ブリット』(1968年)は、その後70年代に流行する刑事アクション映画の先駆けとなる傑作。サンフランシスコの街中で撮影された激しいカーチェイスも、その後のハリウッド映画のお手本になっている。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 では、リックと同じTV西部劇のスター出身で映画俳優としての地位を確立した成功者として、冴えない日々をおくるリックとは対照的に描かれている。

© Warner Bros. Entertainment Inc., Chad McQueen and Terry McQueen

スターチャンネル2

ブリット

5日 後4.45~6.45 [再]=14・22

リックより早くイタリアへ行ったクリント・イーストウッド

同じくTVの西部劇ドラマでスターとなっていたクリント・イーストウッドは、チャンスの少ないアメリカの映画業界に見切りをつけ、イタリアで『荒野の用心棒』(1964年)に主演。大成功を収める。
『マンハッタン無宿』(1968年)はヨーロッパで人気を復活させた彼がハリウッドで主演した起死回生の一作で、ここで彼が演じたのは事件解決のためには荒っぽいやり口もいとわない一匹狼の刑事。のちに代表作となった人気シリーズ『ダーティ・ハリー』(1971年)の原型ともいえる作品だ。

© 1968 Universal City Studios, Inc. Copyright Renewed. All Rights Reserved.

スターチャンネル1

マンハッタン無宿

[字]16日 前10.00~11.45 [再]=20

「アメリカン・ニューシネマ」の流行

1960年代末のハリウッドで起こった変化でもっとも大きかったのは、 かつて、もてはやされていた「夢」や「希望」といったテーマが、ベトナム戦争や学生運動といった暗い現実社会のムードと相いれなくなってしまったことだった。時代の流行を色濃く反映した芸術的な作品が次世代の若い監督たちによって作られるようになり、それらはやがて「アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれた。
『真夜中のカーボーイ』(1969年)は大都会の中で孤独に生きる貧しい青年たちを描いた名作で、『卒業』(1967年)などニューシネマへの出演で名声を得たダスティン・ホフマンがここでも活躍。ハリー・二ルソンが歌う主題歌「うわさの男」(Everybody’s Talkin’)のメロディとともに、映画史に残っている。

© 1969 JEROME HELLMAN PRODUCTIONS, INC.. All Rights Reserved

スターチャンネル2

真夜中のカーボーイ

[字]8日 後4.45~6.45 [再]=13・28

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